創業したてでもファクタリングは使える?スタートアップの資金調達

創業したてのスタートアップでも、ファクタリングを利用できます。中小企業庁「2024年版 中小企業白書」によると、開業後5年以内の企業の約40%が「運転資金の確保」を最大の経営課題として挙げています。売掛金があれば創業年数に関係なく利用できるファクタリングは、スタートアップにとって有力な資金調達手段です。

スタートアップの資金調達の現状

創業直後の資金繰り課題

日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」によると、開業時に直面した課題として最も多いのが「資金繰り・資金調達」(49.5%)でした。さらに、開業時の資金調達先として「自己資金」が平均68.5%を占め、外部からの調達に苦労している実態がうかがえます。

創業直後のスタートアップが銀行融資を受けにくい理由は明確です。

審査項目銀行融資の評価基準スタートアップの実態
決算実績2〜3期分必要実績なし or 赤字
担保不動産等を重視担保資産なし
保証人代表者保証+第三者保証を求められることも確保困難
事業計画実績に基づく予測を重視予測のみ

スタートアップの資金調達手段の比較

一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)の「2023年度ベンチャー白書」によると、スタートアップの資金調達手段は多様化しています。主な選択肢を比較すると以下のようになります。

資金調達手段調達期間調達コスト創業直後の利用可否
VC(ベンチャーキャピタル)3〜6ヶ月株式希薄化事業性次第で可能
日本政策金融公庫(創業融資)2〜4週間金利1〜3%程度利用可能
銀行融資1〜2ヶ月金利2〜5%程度困難な場合が多い
ファクタリング即日〜数日手数料1〜18%程度売掛金があれば可能
助成金・補助金3〜6ヶ月なし採択されれば可能

ファクタリングの特徴は、売掛先の信用力が審査の中心となるため、自社の財務実績が浅くても利用できる点にあります。

スタートアップがファクタリングを利用できる理由

審査基準の違い

ファクタリングの審査では、利用企業(スタートアップ)ではなく、売掛先企業の信用力が重視されます。これが創業直後でも利用できる最大の理由です。

例として、創業6ヶ月のIT企業A社(年商見込み3,000万円)のケースを考えます。銀行融資では「決算実績がない」として門前払いでしたが、売掛先が上場企業だったため、ファクタリングでは問題なく審査を通過し、300万円の売掛金を即日現金化できました。

利用に必要な条件

創業直後のスタートアップがファクタリングを利用するための条件は以下の通りです。

必須条件

  • 売掛金が存在すること(請求書発行済み)
  • 取引の実態があること(商品・サービスの納品完了)
  • 売掛先が法人であること(個人向け債権は対象外の会社が多い)

審査で有利になる条件

  • 売掛先が上場企業・大企業・官公庁など信用力の高い取引先
  • 継続的な取引関係がある
  • 支払期日が明確で、支払いサイトが90日以内程度

スタートアップ向けファクタリング会社の選び方

1. 創業年数の条件を確認する

ファクタリング会社によっては「創業1年以上」などの条件を設けている場合があります。事前に創業直後でも対応可能か確認しましょう。

OLTA株式会社ペイトナー株式会社などのオンライン完結型サービスは、創業年数よりも売掛金の内容を重視する傾向があり、スタートアップにも利用しやすいと言われています。

2. 小口対応の可否を確認する

スタートアップの場合、売掛金の金額が小さいケースも多いです。最低買取金額を確認しましょう。

ファクタリング会社タイプ最低買取金額の目安
大手対面型100万円〜
オンライン完結型1万円〜30万円

株式会社ラボルは1万円から対応しており、フリーランス・小規模スタートアップに適しています。

3. 手数料の透明性を確認する

手数料の相場は以下の通りです(当サイト調べ、2024年時点)。

契約形態手数料相場
2者間ファクタリング8〜18%程度
3者間ファクタリング1〜9%程度

見積もり時に「事務手数料」「登記費用」などの追加費用がないか確認することが重要です。

4. 審査スピードを確認する

スタートアップは資金需要が急に発生することが多いため、審査スピードも重要な選定基準です。

スタートアップがファクタリングを活用するシーン

ケース1:受注増加に伴う運転資金不足

例として、SaaS開発のB社(創業8ヶ月)は、大手企業との年間契約が決まり売上が急増。しかし、開発人員の増員が必要で、入金前に人件費が不足する事態に。月末入金予定の売掛金500万円を株式会社ビートレーディングでファクタリングし、手数料10%(50万円)で450万円を即日調達。人員確保に成功し、契約を履行できました。

ケース2:融資審査待ちのつなぎ資金

例として、製造業のC社(創業1年)は、日本政策金融公庫の創業融資を申請中だったが、審査に3週間かかる見込み。その間の仕入れ資金200万円が不足していたため、売掛金をファクタリングで現金化し、融資実行までのつなぎ資金として活用しました。

ケース3:季節的な資金需要への対応

受注に波があるスタートアップでは、繁忙期の仕入れ資金確保にファクタリングが有効です。詳しくは季節変動のある業種の資金調達を参照してください。

スタートアップがファクタリングを使う際の注意点

1. 手数料コストを事前に計算する

ファクタリングの手数料は融資金利と比較するとコストが高めです。年利換算で考えると以下のようになります。

ファクタリング手数料支払いサイト年利換算(概算)
10%30日後約120%
10%60日後約60%
5%30日後約60%
5%60日後約30%

短期的な資金繰り改善には有効ですが、継続的な利用はコスト増につながるため、融資や他の資金調達手段への移行を計画しておくべきです。

2. 売掛先に知られる可能性(3者間の場合)

3者間ファクタリングでは、売掛先に債権譲渡の通知が行われます。取引関係への影響が懸念される場合は、2者間ファクタリングを選択するか、事前に売掛先に説明しておくことをおすすめします。

3. 悪質業者を避ける

金融庁は「ファクタリングを装った高金利の貸付け」に注意を呼びかけています。以下の特徴がある業者は避けてください。

  • 「保証人が必要」と言われる
  • 「売掛金が回収できなかった場合は返金してもらう」と言われる(償還請求権あり=実質的に貸付)
  • 手数料が異常に高い(30%以上など)

詳しくはファクタリング詐欺の手口と対策を確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 創業したてでも本当にファクタリングを利用できる?

A. はい、利用できます。ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、自社の創業年数や財務実績は審査の主要項目ではありません。ただし、売掛金が存在し、取引の実態があることが前提です。

Q2. 創業直後だと手数料は高くなる?

A. 創業年数そのものよりも、売掛先の信用力と売掛金の内容(金額、支払いサイト、継続取引かどうか)が手数料に影響します。売掛先が上場企業などであれば、創業直後でも比較的低い手数料で利用できることがあります。

Q3. 銀行融資とファクタリングはどちらを優先すべき?

A. 長期的なコストを考えると、融資の方が金利が低いため有利です。ただし、創業直後で融資が受けられない場合や、審査を待つ時間がない場合は、ファクタリングが現実的な選択肢になります。両者を併用する企業も多いです。

Q4. VC調達とファクタリングの使い分けは?

A. VC調達は「事業拡大のための成長資金」、ファクタリングは「日々の運転資金の平準化」と目的が異なります。VCからの調達は時間がかかり、株式の希薄化も伴うため、運転資金の確保にはファクタリングの方が適している場合があります。

まとめ

創業直後のスタートアップでも、売掛金があればファクタリングを利用できます。日本政策金融公庫の調査が示すように、スタートアップの約半数が資金繰りに課題を抱えており、銀行融資が難しい創業初期において、ファクタリングは現実的な資金調達手段の一つです。

ただし、手数料コストは融資と比較して高いため、継続的な依存は避けるべきです。創業融資やVC調達など、より低コストな資金調達手段への移行を計画しながら、つなぎ資金としてファクタリングを活用するのが賢明な使い方と言えるでしょう。

出典・参考文献

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のファクタリング会社を推薦するものではありません。ご利用の際は必ず複数社を比較し、契約内容を十分にご確認ください。記事中の統計データは各機関の公表情報に基づいていますが、最新の情報は各機関のウェブサイトでご確認ください。